ありがとう

たくさんのありがとうをあなたに
もっともっと伝えたかった

最後、辛い思いをさせやしなかったろうか

苦しくはなかったろうか
痛くはなかったろうか

乾いて閉じることの出来なくなった瞳で
最後にうつしたものはなんだったのか

もっともっともっと

大切にしてあげればよかった

敬老の日
「母親に合いたくない」なんて意地をはらずに
あなたに逢いに行けばよかった

悔しいよ


でも

おじいちゃんの月命日だった17日0時33分
日付が変わったとたん、静かにとまった呼吸

迎えに来てくれたの?
22年ぶりに逢いに来てくれたの?


頻度を増す痙攣発作を見ていられなくて
使ったセルシン
呼吸抑制が来ることなんてわかってた

「痙攣おさまってきたね」なんていいながら
いとこや叔母たちと、たわいもない思い出話で
笑っているときだった

自分でトイレに貼った「五木ひろし」の特大ポスター
「五木さんが見てるみたいで、出るものが出ない!!」って
顔赤らめてもじもじしてたおばあちゃん
おちゃめな人だった

一緒に笑ってくれていたかのような
やさしい顔をしてくれていた

解剖は本当は嫌だったんだけど
お人よしのあなただったら
「是非に使ってくださいな」って言うだろうって
手術に送り出した

私は仕事を休ませてもらえなくて
見送ることも出来なくて


でも、最後に傍にいられたこと
本当に嬉しかった



たくさんのごめんねとありがとうがあなたに
届きますように