眩暈

毛利庭園

なにもなければ 失うのは恐くない


そう思うなら何も伝えないままで手を離せば良い


置いていかれるより、置いていくほうが楽


そう思うのなら 捨ててくれてかまわない


本当はあなたに振り回されることが幸せだった



あなたにつもる罪の意識と
僕につのるあなたへの気持ちは

いつも比例しているから やっかいだね



もっと苦しんでくれていい
僕のためだけに泣いてよ


つらそうな顔さえ愛しいのに
あなたはそれさえも罪という


飲み込んださよならを いつ伝えようかとうつむいてばかりで


あなたは僕を見なくなった




ねぇ。兄さん。

戻れるなら兄弟だった頃にまで時を戻そうよ



そうすれば僕まだあなたの傍にいていいでしょう?

ねぇ、それすらもうダメなのかな。


僕が消えるのがダメで、兄さん自身が消えるならいいだなんて
兄さんらしいけど



ずるいね