兄さんから

アル

晦日の年越しSS
あれをアップしたのが1/8とかいうダメ管理人なのですが
それに即効きょろにいさんが
兄さんバージョンくっつけてくれました

うわーい!!!

ご堪能アレ


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ばさり。

「ボクの分もかけなよ」
そう言いながらかけられた毛布を音を立てて勢いよく返した。
「もう、寒いのに無理しないでよ」
呆れたような声。
続く言葉は言われなくても分かってる。
『ボクは寒さなんか感じないんだから』
分かってる。
…分かってる。




寒いのはきっと気温のせいだけじゃない。
機械の右腕から伝わる冷気と、そしてなによりも。





むくりと体を起こして弟の膝の上にもぐりこむ。
冷たい。悴む指先を更に凍らせる鎧の体。
抱きつくように首に手をかけてその温度を必死に暖めようとした。
無駄だなんて分かってるけど。
拒むでもなく、そっと抱きしめ返してくれる手と
自分の機械の腕がぶつかるたびに立つ、冷たい音。
一番大切で、いとおしくて、そしてなによりオレを傷つける罪の音。




それに重なる鐘の音。
何の音かな、と不思議がる声に
新年が来たんだ、と短く答える。
新年を祝うそれに重ねるようにあがる花火と
降り始めた雪に無邪気に喜ぶお前に。



もう一度誓う。
必ず、もとの体に戻してみせる。
だって、お前はオレの命。
神様なんてものはいないから、この魂に誓うよ。
必ずお前を取り戻す。
そのためならなんだって差し出すさ。
お前以外、惜しいものなんて今更何もない。




抱きしめる手に力を込める。
また聞こえる冷たい金属音に涙が出そうになりながら
気付かれないように、そっと頬にキスをした。
冷たい鎧の頬に。
「必ず、元に戻してやるから」




あいしているよ、オレの命。